24年6月6日 朝日新聞より

小児科新規患者を制限/さいたま赤十字病院

2012年06月06日

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◇常勤医が退職へ

 さいたま赤十字病院(さいたま市中央区)で、小児科の新規患者受け入れを一時中止したり、産科が大幅な分娩(ぶんべん)制限をしたりする事態になっている。常勤医の退職が見込まれるための措置だが、地域の医療拠点の診療縮小だけに、利用者への影響は大きそうだ。

◇産科診療にも影響

 病院によると、小児科の常勤医は4人。退職する医師の人数や時期は「調整中」だが、全員が退職する可能性もあるという。

 このため、診療体制の見直しは「最悪の事態」を想定。小児科専門外来への新規紹介患者の受け入れを一時中止するほか、ハイリスク妊産婦の受け入れは困難だと伝え、大幅な分娩(ぶんべん)制限も設けた。特に産科は、小児科医が不在になると未熟児の入院管理などができないことを想定し、安全を優先させたという。5月下旬に公表し、病院のHPなどでも患者らに知らせている。

 内田紹夫・病院総務課長は「できる限り受け入れていくが、時間や状況が許す方は別の病院を探していただいた方がいいとお知らせしている」と説明する。

 さいたま赤十字病院は2015年度中にさいたま新都心(同区)に移転し、県立小児医療センター(同市岩槻区)と一体整備される計画が進んでいる。内田課長は「医師の退職は(計画とは)関係がないと思う。新病院での医療分担など話し合いはしていない。移転まで小児科の常勤医が不在という状況はありえない」と話している。

◇「医師の振り向け すぐには難しい」/県医療整備課

 県医療整備課によると、さいたま赤十字病院は昨年度、高度な医療が必要な妊婦や新生児を受け入れる「周産期母子医療センター」(県内10カ所)に指定されたばかりだった。

 しかし、病院側は今春、「現状では新しい小児科医を確保できていない」として、診療縮小の方針を伝えてきたという。

 センターに指定されると、診療報酬の増額や運営費への補助が認められるが、同課は「想定する高度医療ができなくなった場合は診療費は発生せず、補助もしないので、経済的な実害はない」と説明する。

 今回の背景には、深刻な小児科や産科の医師不足がある。常勤医が辞めた場合、新たな人材確保は大きな悩みだ。「公立病院の小児科医をすぐに振り向けるのは難しい」という。

 一方、2病院を移転後、周産期医療の機能を向上させ、現在は埼玉医科大学総合医療センター(川越市)にしかない「総合周産期母子医療センター」に指定する計画もある。

 移転計画を担当する県病院局経営管理課は「さいたま赤十字病院は『早期に小児科医を確保する』としている。移転への直接の影響はないと考えている」と話す。